当院の得意科目

症候別に見る

■ 腰が痛い
──腰痛症
腰の痛みの原因は、
多くは骨や関節の傷みからくるものですが、
他に内蔵の病気からのもの、
精神的な問題からのもの、
色々な原因が複合的に合わさって起こるものなどがあります。
「鍼灸」は、西洋医学では痛み止め、湿布・牽引などの、
症状を取るだけの治療法しかない腰痛に適応します。
初期であれば、早く簡単に治っていきます。
反対に、
長く病院に通っているのになかなか思うように治らない、
こじれてしまった腰痛にも「鍼灸」は適応します。
この場合には、治るまでに時間がかかります。
2〜3回診れば、大体の予後が分かりますので、
説明をしますから、納得がいったら、治療を続けて下さい。
手術後、再び出た痺れや痛みも「鍼灸」の適応です。
かなり改善はしますが、完全には治らない事もあります。
──原因不明の腰痛症
いろいろな検査をして、何の異常も見つからないのに、
いつも腰背部(ウェストより上の辺り)に重く鈍い痛みがあります。
長時間、同じ姿勢が続くと、硬く張ってきて、辛くなります。
この腰痛は、「鍼灸」が、最も得意とする疾患のひとつです。
どんな人も、なる可能性はありますが、
比較的、若くて太れないタイプの男性に多い疾患です。
この場合には、胃腸が弱いという遺伝的体質があり、
胃腸に負担がかかったり、冷やしたりすると、症状が強くなります。
この体質がなくても、
冷やしすぎの飲食物を多量に摂取したり、
胃腸の手術をした後などにも発症します。
激痛は無いのですが、常に重苦しく、
長時間のデスクワークが辛いので、
仕事にも差し支えます。
1〜3回程度の「鍼灸治療」で、重苦しさは、ほぼ無くなります。
遺伝的体質のない場合は、
日常生活での注意を守って、少しの間、養生して下さい。
この体質がある場合には、
胃腸を大事にして、丈夫にしていく事を続けて下さい。
出来れば、「自分でお灸」を勧めます。
──ぎっくり腰
中腰で重いものを持ち上げようとしたとした時や、
腰を急にひねった時、くしゃみをした時などに、
突然激しい腰の痛みが襲い、そのまま動けなくなります。
ぎっくり腰は急になりますが、
下地には長期間にわたる筋肉の疲労、運動不足、老化などがあり、
弾力性が失われています。
その状態で急激な動作をすると、
筋肉や靭帯が対応できずに、椎間板組織の一部が後ろに飛び出し、
神経を圧迫して強い痛みが出ます。

初期の段階では痛みは腰のみに出ます。
安静にして温めていれば、1週間くらいで痛みは一応治まります。
(風呂は厳禁です。湯に浸っている間は、痛みは取れますが、
冷えてきた時に増悪します。患部のみを温めて下さい)
この時、冷やしても楽にはなりますが、温めた方が予後は良いです。
ただ痛みが取れたからといって治っている訳ではないので、
繰り返している内に椎間板の裂け目は大きくなっていきます。
早い内にしっかり治しておいて下さい。
繰り返す度に痛みの範囲が広がり、治りにくくなります。
冷やさないこと、
筋肉を落とさないこと、
酷使し過ぎないこと、
良い姿勢を保つことなど、

自分で注意できることも沢山あります。
──腰部椎間板ヘルニア
椎間板は骨と骨の間にあって、クッションの様な役目をしています。
その中心にある髄核という柔らかい部分と、
その周りを取り囲んでいる腺維輪という非常に強い組織が、
スムーズな腰の動きを可能にしています。
体重の増加や激しい運動・労働で、この部分に負担をかけ過ぎると、
腺維輪が疲労して傷つき、髄核の一部が飛び出すことがあります。
これが椎間板ヘルニアです。
髄核はいろいろな方向に飛び出しますが、
知覚神経が集まっている後方に飛び出ると、
神経が圧迫されるので強い痛みや痺れが出ます。
「鍼灸」の得意な疾患で、
痛みは初期ならば1〜3回でとれますが、
繰り返しているものは(*個々に違うのではっきりとは言えませんが)
1〜6ヶ月はかかります。

また痛みがとれたからといって完治したわけではないので養生をして下さい。
放っておくと神経痛の要因になります。
なお、「自宅でお灸」をすれば完治します。
お灸をすえてくれる人がいれば、正しいお灸の仕方をお教えしています。
線香さえあれば誰でも出来る、
本当に安上がりな優れた治療法です。
──腰部脊柱管狭窄症
脊柱管は、脊椎の中心部を走っている細長い空間を指します。
脊髄液で満たされていて、重要な神経が沢山あります。
この脊柱管が、生まれつきの未発達・すべり症・老化など
様々な原因で狭くなり、中を通っている神経が圧迫される為に、
痺れ・痛み・引き攣れ・排泄障害などの症状が出ます。
一番特徴的な症状は間欠跛行(かんけつはこう)で、
下肢の痛みや痺れなどで長時間は歩けないが、
休むとまた歩けるという状態です。
休む時に少し前屈みになる為、
神経への圧迫が緩み、楽になるのです。
「鍼灸」は老化が進みすぎていると無効ですが、
80代前半位なら完治は無理でも、かなり楽になります。
痛みが取れたら、歩くことと、やはり「自宅でお灸」を薦めます。
神経ブロックや手術は排泄障害など神経症状が現れると検討されますが、
必ずしも良い結果ばかりではないので、充分に説明を受けて下さい。
当院にも、
手術前よりも辛い状態になって来られる方が少なくありません。
神経ブロックも同様ですが、施術した部分が硬縮していることが多く、
「鍼灸」の治療効果は低下します。
──骨粗鬆症による腰痛(圧迫骨折)
老化、ホルモンの低下などで骨中のカルシウムや蛋白質が減少し、
骨が軽石の様にスカスカになった状態をいいます。
骨は非常に脆くなっていて、
ちょっと躓いたり、くしゃみをしただけでも骨折します。
圧迫骨折をした部位に急性の腰痛が出ます。
安静にしていれば2〜3ヶ月で急激な痛みは収まりますが、
背中が曲がり、慢性的なだるさや痛さが残ります。
「鍼灸」では急性期は「鍼」で、
痛みが収まってきたら「お灸」を中心に治療します。
痛みが早く取れ、腰の曲がりの程度が少ない等の効果はありますが、
老化が絡んでいるので、治しにくい疾患のひとつです。
他に、これといった治療法の無い疾患です。
動作に注意を払い、筋肉を落とさないように軽い運動を続けて、
骨粗鬆の進行を遅らせて下さい。
──坐骨神経痛
坐骨神経痛は、片側のお尻の一点から大腿、下腿にかけて
鋭い痛みが走るのが特徴です。
原因の分からないものもありますが、
ほとんどは椎間板ヘルニアが関係しています。
椎間板ヘルニアをきちんと治療しないで、
放って置くと、坐骨神経に沿った痛みがひどくなってきます。
足の先に行くほど病は深く、治り難くなります。
西洋医学では鎮痛剤・麻痺剤で症状を抑える治療が主になりますが、
対処療法のため、一時的に痛みが取れても疲れたり冷えたりすると
再発して、持病の様になりがちです。
それでもなお痛みが消えない時は、神経ブロックや手術をしますが、
ひきつれ感や痺れなどの後遺症が残る場合もあるので慎重にすべきです。
坐骨神経痛は、「鍼灸」が最も適応する疾患のひとつです。
特に「お灸」は、自宅で出来る上に、完治させる力があります。
<根本的に治すには鍼灸が一番だと思います。/span>
──月経困難症
生理の前後には、
誰でも腰や下腹部の鈍痛、軽い頭痛などを経験します。
それが日常生活に支障をきたすほど強い場合は、何らかの治療が必要です。
原因は子宮発育不全・子宮筋腫・子宮内膜症などの他に、
心理的なものや全く原因の分からないものもあります。
どんな場合でも、
東洋医学的診断上の“お血”の証(臍から下腹部の辺りにある抵抗感や圧痛)
が認められれば、
「鍼灸」がよく効きます。
ただ、若い人の子宮発育不全による生理痛は、
初潮の時から貧血を伴う激しい痛みがあるのが特徴ですが、
とても治りにくいです。
これは、赤ちゃんを産めば、けろりと治ります。
──妊娠中の腰痛
妊娠中は体重が増えて、姿勢がそっくり返った形になり、
腰への負担が大きくなります。
また、この時期には、
靭帯などの保護組織を緩めるホルモンも分泌されている為、
腰痛は起こりやすくなっています。
鎮痛剤を使うわけにも行かず、治療は制限されます。
腰痛は「鍼灸」の得意分野です。
副作用の心配をせずに、安心して治療することが出来ます。
しかし、妊娠中に腰痛になるのは辛いことです。
妊娠を考えるなら、事前に腰のチェックをして治しておくと良いですね。
また、妊娠中はいつもより沢山歩いて下さい。
安産と腰痛の予防になります。